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米倉ますみ



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米倉ますみ

山科の別れ ―大石りく―

Lyricist:木下龍太郎
Composer:伊藤雪彦

実家(さと)へ戻れの 離縁状(さりじょう)は
吉良へ討入り 決めたこと
たとえ世間は 騙せても
大石殿の 妻ならば
判りますとも
うつけ芝居の 裏の裏

「旦那様 一日も早いご本懐(ほんかい)
遥か但馬(たじま)の空より
お祈り申しておりまする。
たとえこの身は離縁され
実家へ戻されましょうとも
りくは終生(しゅうせい) 赤穂藩国家老
大石内蔵助の妻にござりまする…。」

松の廊下の 刃傷が
変えた赤穂を 人の身を
ならぬ堪忍 したならと
女子(おなご)のそれは 世迷い言
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まぶた閉じれば
浮かぶあの日の 天守閣

「これ 主税(ちから) そなたとは今日(こんにち)限り
母でもなければ
子でもない。なれど
りくと言う縁なき女子が
いつでもそなたの身を
案じていることだけは
何卒(なにとぞ) 何卒
心の隅に止めておいてくだされ。
のう 主税殿。」

もしもこの身が 男なら
名前連ねた 連判状(れんばんじょう)
ここで他人に なろうとも
心は置いて 参ります
京都 山科(やましな)
背(せな)にみれんの 春時雨(はるしぐれ)